政府って誰?

昨日(1/11)の日経紙に一面トップによると、
政府が医療給付費を抑制するための、
将来の目標を、春に閣議決定する方針だとありました。



医療給付費とは、公的医療保険から
医療機関や薬局などに支払う医療費の事です。
この医療給付費の元手は、国民の保険料と税金です。



規模としては、日本政府の2006年度予算では28兆円を見込んでいて、
これは社会保障給付費全体の3割を占めています。



政府の見通しでは、医療給付費は、現行の制度で放っておくと、
2025年度には56兆円に、今よりも倍増しているそうす。
そこでいくつかの制度改革案が出されています。



(1)まず、厚生労働省の案では、見通しよりも
   7兆円を削減した、49兆円。



(2)今回の記事にある政府の案では、
   11兆円を削減した、45兆円。



(3)首相の諮問機関であり、内閣府に設置された
   経済財政諮問会議の案では、
   14兆円を削減した、42兆円。



というところです。
まあ他にもあるでしょうが、私は日経のこの記事だけから
まとめてみました。



私は社会保障の課題については、
今後の高齢化社会でどんどん増えるので
政府の財政を圧迫している、
ぐらいのイメージしか持ってません。
どの案が良いのかは分からないので、それは置いといて、
私が素朴な疑問として思ったのは、
この記事で言う「政府」って誰なのかという事でした。



本当はちゃんと政治学とか法学の本を読むべきと思いますが、
とりあえず「政府」を「広辞苑」をひいてみたら、
次のように説明されていました。



英米系の国家では、立法・司法・行政の総称。



●ドイツ系の国家と日本では、内閣および行政機構を指す。




という風に、国によって2種類の定義があるようでした。
初めて知った。



ついでに「内閣」というのも、そういえば具体的には何なのか
恥ずかしながら私はよく分からないな、と思って引いてみたら、



●わが国の行政権を担当する最高の機関。
 首長たる内閣総理大臣およびその他の国務大臣で組織する合議体。
 内閣がその職権を行うには閣議による。



というような説明がありました。
首相が大臣さん達を集めた話し合いの場が、「内閣」ということなのかな。





で、今回の日経の記事ですが、政府が医療給付費の方針を決めた、
ということですが、じゃあこの「政府」というのは誰なのか、
というと、ここでいう「政府」の意味には
厚生労働省は入ってるんだろうか?
というのは、今回の政府案は、厚生労働省案よりも、
さらに4兆円を削減しようという対案だからです。
上の「広辞苑」の定義では、日本列島の場合、「政府」といったら
「内閣」+「行政機構」ということですが、
今回の記事での「政府」には、「行政機構」である
厚生労働省は含んでいない意味で使ってるような気が私はしました。



たぶん、今回の記事で言う「政府」というのは、「内閣」、つまり
小泉首相&大臣オールスターズの事なんだろうと私は思いました。
別にスターでもないが。



でも、この医療給付費の削減案については、
首相の諮問機関であり、内閣府に属する
経済財政諮問会議は、「政府」案よりも更に
3兆円多くカットする削減案を提案しています。
この経済財政諮問会には、小泉総理大臣を初め、
総務大臣財務大臣経済産業大臣、そして
会議を仕切る経済財政政策担当大臣と、
合計5人の大臣さんたちがメンバーに入っています。
この提出済みの経済財政諮問会議案というのは、
あくまで民間議員(2人の大学教授とか
ウシオ電機社会長とかトヨタ自動車社会長とか)
の案であって、大臣さん達の案ではなかったと言うことなのかな。



なんだかよく分からなくなってきました。
政府とか内閣とか首相官邸とか与党とか、
どこがどういう意図があって活動してるのか
複雑で悩ましいです。
広辞苑の上の説明によれば、とりあえず
 日本では内閣は政府の一部のようだけど)



また、委員会とか諮問会議とか審議会とか調査会とか連絡会議とか、
毎月のようにボコボコ作られるので、
まったく政治の世界は複雑なもんだなーと私は思います。
確か、政治学ではこういうのを分析するのに
政策形成過程とか、政治過程論とかいう分野の学問として
研究されていたと思います。
余裕があったら、政治学にもちょっと手を伸ばしてみたいところです。