民族エンタメのはやる訳


酒に酔った勢いで、先日思いついた事を書こうと思います。
というか部屋にパソコン部品が散乱しているのに向き合うと
気が滅入りますな……。



今週月曜の日経流通新聞に、最近日本の民俗や風習などを
モチーフにし、かつ心理描写がきめ細やかな
漫画や映画の人気がある、と書いてありました。



其の記事で例に挙がっていたのは、漫画の「蟲師」と
もっけ」、それから映画の「妖怪大戦争」の3作品でした。
(他に「千と千尋の神隠し」にも触れられていたと思います)


蟲師 (1)  アフタヌーンKC (255)

蟲師 (1) アフタヌーンKC (255)


もっけ(勿怪) 1 アフタヌーンKC

もっけ(勿怪) 1 アフタヌーンKC



蟲師」の方は今のところ6巻まで出ていて、累計で
150万部出版されたそうです。


仮に、ある巻を読んだ人のうちの9割が次の巻も買っている、
と仮定すると、最新の6巻の発行部数は19万部弱、
もしくは95%が次の巻も買う場合だったら、
6巻の発行部数は22万弱というところですか。
1冊が600円前後のようですので(けっこう高いな)
一冊出る毎に、本屋では1億2千万円以上の売上が出るんですね。



まあそんなヒットの理由について、記事では、
何人かの評論家に意見を聞いておられます。
大雑把に私がまとめさせていただくと、
今までの洋風ファンタジーとは違い、
日本の民俗がモチーフとして使われている為、
現実世界と地続きのように「異界」が設定されていて、
細かい心理描写と合わせて、
登場人物に独特のリアリティがあり、雰囲気が心地よい、
というようなものかと思います。



私は3作品とも見てないので、なるほどねーと思ったのですが、
もう一つ別の原因を思いつきました。



それは、漫画やアニメを海外の市場もターゲットに入れて
マルチメディア展開(とかミックスドメディアとかかんたら)
するとなると、海外の神話とかを使いづらいのが
民俗モチーフの消極的な原因の一つなんではないかと思いました。



例えば、韓国の優れたネットワーク・ゲームで遊ぶ人が増えてくると、
韓国の民間伝承のキョンシーとか、日本の作品では
登場させるのって勇気が要ると思うんです。
よっぽど各国の神話とかオカルトとかに詳しい、
勉強熱心な漫画家でもない限り。
本場の国の作家の歴史知識とか宗教の知識には、
普通かなわんでしょう。


また、例えば、
天使が、日本に住む平凡な高校生として生活しながら、
悪魔の軍団とハルマゲドンを戦って、地球を救う、とか、
ヨーロッパの人に読まれると恥ずかしいものが有ります。
なんで毎日ドンパチやってるパレスチナを放っておいて
日本に来て学園生活やってんだよ、みたいな。
(いや、「デビルマン」は名作だと思いますが)




まあ、丁寧な心理描写や独特の雰囲気などは
作家の個性と思います。
ただ、アスキーアートのオリジナリティとかライセンスとか
知財付加価値を守れとか、言われてる(らしい)
このご時世に、海外の神話をモチーフにしたファンタジー
描くほうがむしろ難しいんじゃないかと、私は思いました。




と、私が民俗エンターテインメントのヒットの理由を、
コンテンツ産業のグローバリゼーションという仮説で
考えていたら、もっとすごい意見が記事に書いてありました。



蟲師」が今月22日からアニメ化され、海外展開も
予定されているとの事ですが、そのアニメの製作をしている
マーベラスエンターテイメント音楽映像グループエグゼクティブプロデューサーは、
次のようにおっしゃっています。



日本の風土そのものが持つ、日本人のDNAに組み込まれた原風景を描いている。

日本が誇るエンターテインメント産業のマーケティング能力は、
すでに最新の遺伝子工学ゲノム解析の水準を
遥かに凌駕していると言えましょう。



DNAの4種類の塩基の組み合わせで、
どうやって親の見た映像の記憶を固定するのかとか、
日本列島にいる世代の記憶よりもアフリカにいたときの世代の方が
長いから、これからはアフリカを舞台にしたリアルな作品が
ヒットするんだろうとか、まあ疑問は置いておいて。



本日の結論としては、とりあえずおもしろいのかどうか
読んでみるか、というところですね。



22日までに自作パソコンを完成させて、チューナーを付けて
蟲師」のアニメをDVDに録画できるよう頑張りたいと思います。