伊藤元重先生の「経済教室」をちょこっと勉強してみる(1)

ricamo2005-12-19




先週の12月14日の日経新聞の「経済教室」のコーナーで、
経済学者の伊藤元重いとう もとしげ先生が、金利上昇と物価上昇が、
土地や株価などの資産価格に与える影響について
書いておられました。



初歩的な経済学の理論を用いるだけで、
「株価の連日高騰!」とか「すわ大都市の土地ではミニバブルか!?」
とか「金余り現象だ!」などのトピックスを
サクッと解説していてかっこいいです。



中でも私が一番すげーと思ったのは、
最初に一番単純なモデルでシミュレーションしてから、
少しずつ「じゃあ次は地価が上昇すると予想される場合」、
「じゃあ次は金利が少し上がり始めた場合」、
というように少しずつ現実に近づけて複雑にしていくという、
経済学の教科書の定石通りの説明をこんこんとされているところでした。



まあ伊藤元重先生の説が正しいのかどうかは、
経済学に無学な私には判断できませんが、
教科書も書いている高名な学者が、こんな
地味で当たり前の解説の仕方をしてるんだなーと思うと
結構感動的なものがありました。
何というか、「学問に王道無し」というのを
身を以って示されているところが、
まさに王道って感じでした。



で、また私は今金融論の入門書を勉強していることもあって、
この記事は、タイムリーな記事だと思って、
切り取ってスクラップにしてちょくちょく読み直しています。



この記事では、最初に、税金とか地価の変動が無いと予測される
一番単純なモデルでは、地価は、将来にわたっての賃料を
金利で割り引いた価格になるとのことです。



例えば、金利国債などの債券の利回り)が4%で、
ある土地の賃料が駐車場の運営などで年に100万円稼げる場合、
この土地の理論上の価格は



 100万円 ÷ 4% = 2,500万円



になります。



(1)もし2,400万円でこの土地が売られてたら、
投資家は債券を買わずにこの土地を買うでしょう。
この土地を買えば100万円の収益があるのに、
2,400万円を債券に投資しても、4%の金利では
年に96万円しか収益が無いからです。
なので土地を売る人はもっと土地の値段をつり上げます。



(2)
あるいは、この土地が2,600万円で売られてたら、
投資家はこの土地を買わずに債券を買うでしょう。
2,600万円を債券につぎ込んでいれば、
4%の金利では104万円の収益があるからです。
なので土地を売る人は、このままだ買ってもらえないので
土地の値段を安くします。




というわけで、この土地の理論上の値段は、
土地の収益率が債券の金利に等しくなるよう、
2,500万円になります。




まあこのあと、物価が変動する場合とか
地価が上昇傾向にあると人々が予想する場合とか、
だんだん複雑になっていくんですが、
私が理解できたのはここまでです。
(もちろん、ここまででも間違ってる可能性は多分にあります……)





ところで、実際に地価や金利のデータを使って、
この理論が大枠では現実に当てはまってるのかどうか、
確かめてみようと思ったんですが、
次の総務省統計局のページによると、
バブルが崩壊した1991年から先では、
まだ全国レベルでも6大都市レベルでも、
東京、大阪などのどこの都市レベルでも、2004年まで
地価は下がり続けているようです。



総務省統計局のサイトより
http://www.stat.go.jp/data/nihon/zuhyou/n1701000.xls




こちらの日経の「経済教室」によると、導入部に
「不動産市場においても、大都市の中心部に
バブルとも言われる動きが見られる」
って書いてあったんですが、土地の価格は上がってんのかな。
景気の回復に伴って、東京や大阪ではオフィスの空室率が低下、
とかは日経新聞で読んだ気がしますが……。



それとも地価が上がり始めてバブルとか言われ始めたのは、
上の統計局のデータから先の今年に入ってからの
動向だったのかな。



伊藤元重先生の解説を勉強するのに合わせて、
そこらへんも調べてみよう。