実質マイナス金利政策


今日の日経新聞の3面によると、
実質金利を算出する際には、

名目金利から人々が期待する先行きの物価上昇率を差し引くが、便宜上、実際の物価上昇率を使うことが多い。


とのこと。
本来は予想インフレ率を使うべきだったのか、
今頃私は知りました。
やはりここらへん、入門書だけじゃなくて、
体系的に教科書で勉強した方が良いかも。



ちなみに、先の11月のCPI(消費者物価指数)は
大方の予想通り前年同月比プラスに転じました。
そして日銀の予想では来年1〜3月にかけてより上昇し、
0.3〜0.4%程度に達する可能性があるとの事です。



たった0.4%とかの物価上昇率でも、
今の政策金利無担保コール翌日物金利)は
名目で0.003%(27日)に過ぎません。



なので、来年頭にまだ(量的金融緩和政策が終了したとしても)
政策金利がゼロ%近辺なら、実質金利


 0.003% − 0.4% = −0.397%


程度のマイナスが予想されます。



今まで金利がゼロ&に過ぎないのに預金者がお金を
投資や消費にに回すよりも預金で維持する傾向が強かったのは、
いままでは物価が下がってたので(デフレ)、
実質金利がプラスだったからとの説があります。



例えば、銀行に100万円を5年間預けて、
まったく変わらない100万円のままで返ってきても、
物価が下がってるなら、実質的に買える商品は増えているからです。
だったらまあ、利子は付かなくても預金する人も
多くなりそうです。




また、ちょうど今日の日経紙の「経済教室」欄にも
金利と物価の関係を扱っていました。



それによると、実質マイナス金利政策は
効き目も大きいが副作用も大きい
かなりの「劇薬」だそうです。



例えば、2001〜2004年のアメリカの中央銀行FRB)は
景気低下&デフレが懸念され始めたため、
政策金利FF金利)をインフレ率以下の1.0%まで低下させました。
これが奏功してアメリカ経済は回復しましたが、
その副作用で住宅価格が高騰してしまいました。



実質金利がマイナスになった場合、
先の例だと、銀行にお金を預けても、
戻ってきた時に買える商品の量は減ってしまいます。
利子で増えたお金の分よりも、
商品が値上がりした方が大きいためです。
なので消費者のお金は、預金よりも土地や株式に、
そして企業のお金は設備投資に、
ますます流れ込みそうです。



日本でもさらに株価や地価が上昇するんでしょうか?



「経済教室」での論旨では、
日銀による(名目の)ゼロ金利脱却は金融正常化の第一歩にすぎず、
物価上昇率と絡めた実質マイナス金利をいつ終わらせるかも、
今のうちに決めるべきで、
1980年代後半の土地バブルの再来を再び招いてはならない、
とのことでした。



まだ私にはよく分からないところが多々有りますが、
金利と物価、そして資産価格の関係はとてもおもしろく、
勉強意欲を掻き立てられます。