政策過程1988
- 作者: 伊藤光利
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 1996/04
- メディア: 単行本
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関心のあった「政策過程」が扱われている
「第7章:政策のつくられ方」だけ、
私はパラパラと読んでみました。
そこでは具体例として、1988年12月に
日本の国会で消費税が通過した時のプロセスが
説明されていました。
私なりにまとめると、大雑把には次のような流れでした。
(1)大蔵省(当時)の官僚が原案を考え出す。
(2)政府税制調査会(通称:政府税調)で原案が検討される。
でも審議会は、招いた専門家が役所のOBだったりするし、
原案を作成した役所が事務局を務めるるので、
この時も大蔵省ペースだった。
(3)自民党税制調査会(通称:党税調)で自民党の族議員と調整される。
この段階で税率を5%から3%に、
課税方式を伝票方式から帳簿方式に、
年商3,000万円以下の事業者には非課税に、
年商5億円以下の事業者については簡易課税方式が認められ、
当初の大蔵省の原案からはだいぶ後退させられた。
当時の党税調は自民党国会議員の過半数を占める268人の
巨大マシーンだった。
(4)野党との調整をする(=国対政治)。
(3)の段階で与党の支持を得られたとしても、
強引に強行採決しては、多数の横暴として
世論の批判を浴びる恐れなどがあるため。
(5)この消費税の場合は、徐々に盛り上がって全国民を巻き込んだあと、
結局は多数決で決着をみることになった。
本書ではこの後、上記の1988年の消費税の法案通過の例を
政治学的に分析しています。
(私はちょっと読んだけどまだ良く分かりませんでした)
あと、昨年の終わりごろに、定率減税の廃止案が出されましたが、
その順番をネットで調べたら、1988年の消費税の時と同様、
●2005年10月25日
定率減税、2007年廃止へ・政府税調が大筋合意(NIKKEI.NETより)
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt5/20051025AT1C2500C25102005.html
●2005年11月24日
自民税調、定率減税の全廃方針を確認(NIKKEI.NETより)
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt5/20051124AS1F2401E24112005.html
と、政府税調 → 自民税調(党税調) の順番でした。
まあ、この本が出版された1996年から、
この数年で政治のプロセスも変わったような気もするし、
どこまでこの本から学ぶ事が有効なんだろう。
でも1988年と1997年と最近の消費税に関わる政策過程を
比較してみるのは結構おもしろそうです。