政策過程1988

ポリティカル・サイエンス事始め (有斐閣ブックス)

ポリティカル・サイエンス事始め (有斐閣ブックス)



関心のあった「政策過程」が扱われている
「第7章:政策のつくられ方」だけ、
私はパラパラと読んでみました。



そこでは具体例として、1988年12月に
日本の国会で消費税が通過した時のプロセスが
説明されていました。



私なりにまとめると、大雑把には次のような流れでした。



(1)大蔵省(当時)の官僚が原案を考え出す。



(2)政府税制調査会(通称:政府税調)で原案が検討される。
   でも審議会は、招いた専門家が役所のOBだったりするし、
   原案を作成した役所が事務局を務めるるので、
   この時も大蔵省ペースだった。



(3)自民党税制調査会(通称:党税調)で自民党族議員と調整される。
   この段階で税率を5%から3%に、
   課税方式を伝票方式から帳簿方式に、
   年商3,000万円以下の事業者には非課税に、
   年商5億円以下の事業者については簡易課税方式が認められ、
   当初の大蔵省の原案からはだいぶ後退させられた。
   当時の党税調は自民党国会議員の過半数を占める268人の
   巨大マシーンだった。



(4)野党との調整をする(=国対政治)。
   (3)の段階で与党の支持を得られたとしても、
   強引に強行採決しては、多数の横暴として
   世論の批判を浴びる恐れなどがあるため。



(5)この消費税の場合は、徐々に盛り上がって全国民を巻き込んだあと、
   結局は多数決で決着をみることになった。




本書ではこの後、上記の1988年の消費税の法案通過の例を
政治学的に分析しています。
(私はちょっと読んだけどまだ良く分かりませんでした)



あと、昨年の終わりごろに、定率減税の廃止案が出されましたが、
その順番をネットで調べたら、1988年の消費税の時と同様、



●2005年10月25日

 定率減税、2007年廃止へ・政府税調が大筋合意(NIKKEI.NETより)
 http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt5/20051025AT1C2500C25102005.html




●2005年11月24日

 自民税調、定率減税の全廃方針を確認(NIKKEI.NETより)
 http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt5/20051124AS1F2401E24112005.html



と、政府税調 → 自民税調(党税調) の順番でした。




まあ、この本が出版された1996年から、
この数年で政治のプロセスも変わったような気もするし、
どこまでこの本から学ぶ事が有効なんだろう。
でも1988年と1997年と最近の消費税に関わる政策過程を
比較してみるのは結構おもしろそうです。