大手スーパーの利益率を左右する「その他の営業収入」って何?

ダイヤモンド0910



溜まって仕舞しまった雑誌を整理してたら、気に成る記事を見付けました。



週刊ダイヤモンド」誌の9月10日号、112〜115ページの
「企業レポート:西友」の記事です。



西友の3年間、正社員の4分の1をリストラしたり
新システムを導入したり等の、ウォルマート式の経営方法を
取り入れてきたそうですが、の結果は出ているか、というレポートです。
店内の写真や西友CEOの渡邊さんへの直撃インタビューも有り、
またイオンやイトーヨーカド―との比較をグラフで見やすく表示されていて、
おもしろい記事でした。



の中で私が一つだけ気に成ったのが、113ページの
「取引高の減少で納入メーカーの冷たい視線」という見出しの、
利益率の分析の個所かしょです。



雑誌では円柱状のグラフが使われていて、大変分かり易くて
良いなと思ったんですが、数字だけ書くとこんな感じ。



3社売上高対利益率と販管費率の内訳(連結)


西友は2005年度上期、
 イオンは2004年度通期、
 イトーヨーカ堂は2004年度通期。



 【収入内訳】

西友 イオン イトーヨカドー
総利益率 24.6% 24.6% 25.1%
(単体粗利益率) (24.2%) (26.2%) (31.0%)
営業収入率 3.9% 9.1% 11.7%
■収入合計 28.5% 33.7% 36.8%

 【販管費内訳】

西友 イオン イトーヨカドー
人件費 11.9% 12.3% 10.6%
店舗維持管理費用 8.7% 8.5% 8.0%
減価償却 1.7% 2.2% 2.6%
宣伝費 1.5% 1.9% 2.2%
その他 5.2% 5.3% 7.5%
販管費合計 29.0% 30.2% 30.9%

 【営業損益率】

西友 イオン イトーヨカドー
■営業損益率 -0.5% 3.5% 5.9%



私流の勝手な解釈に成りますが、雑誌の記事では、
ウォルマート式の「エブリデー・ロープライス」方式
(特売をしない代わりに、毎日安売りする方式。略してEDLP)は、
日本の環境では限界があるんじゃないか、というように
書いてあります。



の根拠として、次の様に分析されています。
エブリデー・ロープライス」方式では、粗利益率
(={販売価格−仕入れ価格}÷売上高)がとても低くなります。
実際、上の表からも、西友の単体粗利益率が 24.6% と、
3社の中で一番低いですね。
ちなみに、本家ウォルマートでは 22.9% と、上の3社の何所どこよりも
低いのです。



して、西友の営業損益率は -0.5% と赤字に転落して仕舞しまっていて、
エブリデー・ロープライス方式を維持しつつ黒字化するには、
よっぽど費用(此所では「販管費」)を抑えないといけません。
の点、ウォルマートは高度な物流システム等を活かし、
販管費÷売上高」をなんと 17.9%(!)に抑えているので、

の販売方式で、がんがん薄利超多売して行けるんです。



所が、日本では、コストの多くを占める家賃・光熱費・人件費等を
大きく下げる事は、経済環境的に困難です。
上の表では、西友販管費は 29.0% と、3社中一番低く抑えられてはいます。
でも、
これ以上コストカットをするには限界が有るだろう……。
だから、エブリデー・ロープライス方式を採用して
粗利益率を下げ過げたまま経営を成り立たせるのは、日本では難しい。
というのが本記事の趣旨だと私は読解しました。





此所ここまで読んで、私はなるほどーと感心したのですが、
一つ気に成ったのが、上の3社比較の表で見ると、
総利益率(連結の方)は3社とも 25% プラスマイナス 0.5% 内、
販管費率は 30% プラスマイナス 1% 内で、素人の目には
大して違わなくね? と思って仕舞しまうのです。
勿論もちろん、費用をわずかでも削減するのに、何程どれほどのアイデアと実行力と根気が
るかを私は見ていないからこそ、こんな失礼な事を書けるのですけれども。



さて、営業損益率では、西友とイトーヨーカ堂では 6.4% の開きが
出てる訳ですが、じゃあこれって何所どこでそんな差が付いちゃったんだろう?



……というか見れば一目瞭然なのですが、「営業収入率」という項目の所で、
西友が 3.9% でイトーヨーカ堂が 11.7% と、実に7.8%の利益率の差を
作っています。
此所ここが怪しいぞ! と私はにらみました。



……でも「営業収入率」って何?



週刊ダイヤモンド誌の」本記事では、
私の読み込みが足りないのかも知れませんが、
如何どうの「営業収入率」にいては記述が見当たりませんでした。



に落ちなかったので、イトーヨーカド―社のサイトでも
見てみるとヒントが出てるかな、と思って見てみました。



●イトーヨーカド―社のWEBサイト
http://www.itoyokado.co.jp/



より、のサイトの「財務情報」→「決算短信」→バックナンバーの
 「2004年度(平成17年2月期)」の連結の通期のPDF形式ファイルの方
http://www.itoyokado.co.jp/company/investors/settle/data/pdf/17_04renketsu.pdf



の38ページ中の17ページ目(此処迄長かった……)に、連結損益計算書が有ります。
これこそ、ダイヤモンド誌の上気の表の数字の元データのはずですね。
丁寧に売上高を100%とした時の各項目の割合が載っていて、
それに拠ると粗利益率(=売上総利益率)は 28.4% で、
販管費(=販売費及び一般管理費)は35.0%、営業利益率は 6.6%と……



……て、あれ、上のダイヤモンド誌の表の数字と違うやん。



で、しこしこと電卓で計算して彼是あれこれ試した所、ダイヤモンド誌で使っている数字は、
分母に使う数字が、ヨーカ堂サイト上の損益計算書の「売上高」ではなく、
其の上に有る「営業収益」という数字を使っている様だという事が分かりました。
……また分からない言葉が出てきたぜ。



本当かな?
試算してみましょう。
例えば、ダイヤモンド誌で言う所の総利益率は、損益計算書上の数字を使うと


 「売上総利益」÷「営業収益」
= 9085億4000万円 ÷ 3兆6235億5400万円 
= 0.2507317……


なので、約25.1%という事で上の表の数字と一致します。



あーびっくりした。



して私が知りたかったのは、例の謎の「営業収入率」という項目。
ヨーカ堂サイト上の損益計算書で見ると……
お、それっぽいのが有りますね。
「III その他の営業収入 : 4225億5600万円」。
確認のため営業収益で割ってみると、



 「その他の営業収入」÷「営業収益」
=4225億5600万円 ÷ 3兆6235億5400万円 
=0.11661368……



で、確かにダイヤモンド誌の表のイトーヨーカ堂
営業収入率である 11.7% に一致します。
良かった。



そんでヨーカ堂サイト上の此のPDFファイルの25ページ目には、
「その他の営業収入」が何なのか、軽く説明が有りました。



で、もう疲れたので今日は寝よう。
の続きを書くかは決めてません。
ほんと、こんな日記誰が読むんだろう……。