ルパン(じっちゃんの方)の映画化と原作本の思い出

ルパン公式サイトより



小学生の頃、私もはまってた、怪盗紳士アルセーヌ・ルパンが
映画に成ったとの事で、とても楽しみです。
クラスでブームになっていて、小学校の図書室でみんな争って借りて読んでました。
まあ家に帰ってもファミコンやりすぎると怒られたので、
他に子供の長い一日を埋めてくれる娯楽は無かったしな。



映画「ルパン」公式サイト
http://www.arsene-lupin.jp/



数多くある原作本のシリーズの中から『カリオストロ伯爵夫人』の話を
ベースにして映画化した様です。
の話は、私が小学生の時読んだのはポプラ社南洋一郎さんの訳で、
『魔女とルパン』というタイトルでした。
魔女って……。



魔女とルパン    怪盗ルパン 文庫版第14巻

魔女とルパン 怪盗ルパン 文庫版第14巻



なつかしー!



私はポプラ社のルパン・シリーズの、本の初めにある
南洋一郎さんによる訳者前書きが好きでした。
子供向けという事もあってか、妙に熱いんです。
もう15年以上前の話なので、記憶が消えかかっていますが、
ニュアンスだとこんな感じ。



「この本の中で、ルパンは絶体絶命の大ピンチになります。
 読者の皆さんも手に汗を握って、ハラハラとするにちがいありません。
 世界の大怪盗ルパンも、ついにこれまでなのでしょうか。


 いいえ、ルパンは超人です。スーパーマンなのです。
 ルパンは最後の最後まで、決してあきらめたりはしません。
 絶体絶命のピンチの時ほど、ルパンの頭脳は高速回転するのです。


 このお話の中でも、ルパンはあっという方法で、
 フランスの警察をまんまとだまして脱出します。
 さて、それではどんな方法を使ったのでしょうか?


 その種あかしは、どうぞ本文をじっくりとをお読みください。」



みたいな感じだったと思います。
適当ですし、大分私の記憶の中で加工されてると思いますが……。



なんか、映画館で映画を見る時、本編の前の他の作品の予告編で
徐々じょじょに盛り上がっていく時みたいな感じがして、むしろ本編よりも好きでした。
大人の人が子供を心地よくだましてくれてるなー、みたいな。



南洋一郎さんの訳しっぷりについて触れられているページを
 見つけておもしろかったので、次の方にトラックバックというものを
 させていただきました。
 初めてなもので、トラックバックの意味とかやり方に
 自信が無いので、失礼でなければ良いんですが……。
 ご参考まで。


紫微の乱読部屋 at blog
http://blog.goo.ne.jp/purple-s/e/af145c5f93279602b22f023cc24960ec

今日読んだスポーツ新聞(誌名忘れた…)の映画コラムでは、
「映画の冒頭にノルマンディーの奇岩城が映し出された時点ですでに感涙。」
みたいに書かれてあって、「ああ、それ分かる!」と膝を打ちました。
(「奇巌城」と書くのかな)



奇岩城きがんじょう」、名作過ぎ!



奇巌城 怪盗ルパン 文庫版第4巻

奇巌城 怪盗ルパン 文庫版第4巻




天才少年との推理対決をゲームの様に楽しみながら、同時に
ちょっと余裕で見守る様な、大人のルパン。
彼にはもっと大切なものが有るのですよ。
そしてあの世界一の名探偵、大英帝国代表のシャーロック・ホームズまで登場して、
頭脳戦が最高潮に達した時、悲劇が……



原作ではホームズの名前を変名にしてごまかしてます。
これを映画化すると、シャーロック・ホームズのあんまり良くない役どころの所為せい
イギリスとフランスの国際問題に発展しかねない(?)いわくつきの話ですが、
是非ぜひ此方こちらも映画化して欲しいです。



『奇岩城』では、ラストの悲劇が起きた時、それまで余裕のダンディーぶりもどこへ行ったのか、
「こんちくしょう、こんちくしょう!」と子供のように地団駄を踏んでぶち切れる
ルパンが、とても痛ましいのですよ。
まあ、このへんは南洋一郎さんがポプラ社の子供向けに訳したので、
余計ルパンの怒りが子供っぽく表現されているのかもしれません。
(まあ普通に考えてそうだろう)



名訳つ定番とされている堀口大學訳では、もっとスマートに怒ったり悲しんでるのかも
しれませんが、私に取っては地団駄を踏んで絶叫してるルパンの姿が、ふさわしく感じられます。
私のイメージでは、ルパンってマザコンの、本当は幼稚な部分を隠してる、格好かっこう付け男なんですよね。
天涯孤独と言いつつ、ばあやに世話して貰ってるし。(だったと思う……)
その幼児的な欲求が突然噴出してきた感じで、怒り狂うルパンが良いなと思います。
実際にそんな中年男が居たらただの困った人ですが。



うーん、そういえば私のおぼろげな記憶では、ルパンが少年の頃最初に盗みをしたのも、
母親がらみだったような記憶が有るんですが……。
でも、今回の映画化では、最初の盗みは、泥棒である父親の死と
結び付けられてるみたいですね。
それって原作がもしそうだったとしても、なんか違うなー、
とルパンマザコン説を持つ私は思って仕舞しまいます。



偉大な父親が、自分を認めてくれる前に死んじゃったら、
普通の物語のパターンだと、父親のあとを継いで乗り越える話に成ると思います。
映画の方はそういう話なのかな?
でもそれだと女も成功とか出世の道具とか、手当たり次第女あさりをして数自慢するとか、
女性はステータスの一部みたいな位置付けになる気が、私はるんですよね。
それで男同士がホモっぽく信頼しあって協力しあうと言う……。



具体的に父親が先に死ぬ話ってどんなのがあるかな?
漫画で思いつくものだと、弘兼憲史加治隆介の議』とか。



……あんまり思い浮かんでこねえなー。
父じゃなくて理想的な兄に置き換えると、かわぐちかいじの『イーグル』とかもそうかな。
冨樫義博幽遊白書』はどうだろう……。
シェイクスピアの『マクベス』も親父が死ぬ話だっけな。



一方、私のルパンの印象だと、小説でも毎回違う女性と恋に落ちるお約束が有る訳ですが、
かなり情熱的で、毎回「この人しか居ない!」といれあげちゃうんですよ。
まあ多分心の中にある理想の女性像を追いかけてるだけなんだと思いますが……。
それってどっちかっていったらマザコンだと私は思うんですよね。
日本のアニメの「ルパン三世」もそっちかなー。
宝石盗んでも、結局不二子さんに上げて誉めて貰うためだったりしますもんね。




まあでも冷静に考えてみると、ポプラ社の児童向け翻訳で、
ルパンが女漁りしてたらやだな……。




なので、今回の映画ではルパン三世のおじい様である、アルセーヌ・ルパン一世さんが
本家フランスではどんな男として描かれるのか、興味深いです。




ちなみに私の小学生当時の、心のヒットテン第一位は、この話でした。


『813の謎』


813の謎 怪盗ルパン 文庫版第6巻

813の謎 怪盗ルパン 文庫版第6巻



こちらは「絶対に人を殺さない主義の怪盗紳士ルパンが殺人を犯した!?」
というショッキングな出だしから始まって、殺人鬼との推理合戦、
国際的陰謀(だったと思う…)、「813の謎」のすごいトリックなどがあって
エンターテインメントとして興奮しました。


でも恋愛エピソードの印象が無いので、歳を取る毎に「奇岩城」等と比べると
「エンターテインメントとしてはおもしろかったな」という印象だけが
残っていく気がします。



(同じ理由で、たくさん有るドラえもんの劇場版の中でも、他の作品は忘れられても
 「海底奇岩城」はしずかちゃんとバギーちゃんのエピソードによって
 記憶される事でありましょう……。)



今読んだら、どう感じるのかなー。
読み返さないで死ぬまで熟成させとくのも、一興いっきょうかもしれませんね。


(注)
 ここに書きましたのは、私の脳内で多分にノスタルジー加工がされております。
 実際のルパン小説は、上記の説明とは異なる場合がありますので予めご了承ください。