心理療法の訓練問題集

新宿アルタ前




週末に私はこんな本をちょこっと読みました。



上野千鶴子が文学を社会学する (朝日文庫)

上野千鶴子が文学を社会学する (朝日文庫)



この本の、「癒し手とは誰か――『露山徳爾著作集』に寄せて」
という章に、「学生用の心理療法の訓練問題集」がいくつか
紹介されていました。
正確に言うと、露山徳爾先生という心理療法家の『素足の心理療法
という著作にある問題集で、上野千鶴子さんはそれを解説しているのです。



多悠多恨亦悠悠 (霜山徳爾著作集)

多悠多恨亦悠悠 (霜山徳爾著作集)



なお、露山徳爾先生という方は、私は存じませんが、
ヴィクトール・E・フランクルの『夜と霧』を翻訳された方だそうです。



夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録

夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録




で、その「学生用の心理療法の訓練問題集」がいくつか載っていました。


(23)「星の如く、急がず、休まず、人はその( )のまわりをめぐれ」(ゲーテ)の中のカッコ内に何の文字を入れるべきであろうか。




(46)鈴木大拙だいせつの言葉「禅はどうしても悲の面が欠ける」はどのような意味であるか。




(20)「旅人は自分思っている以上のものを持ち帰ることはできない」これはいかなる意味か。


こんな問題が、合計391問、『霜山徳爾著作集〈6〉』という本には
収められているそうです。
歳をとるごとに自分の答えも変わっていくと思いますが、
私もちょっと今の時点での自分の答えを考えてみました。



(23)「星の如く、急がず、休まず、人はその( )のまわりをめぐれ」(ゲーテ)の中のカッコ内に何の文字を入れるべきであろうか。


 →私案:「人」。




(46)鈴木大拙だいせつの言葉「禅はどうしても悲の面が欠ける」はどのような意味であるか。

 →私案:
  「一人で世間から離れ、いくら自分や他人、
   果ては人類全体を悲しんだとしても、
   それは所詮しょせん自分の悲しみに
   酔っているだけである。
   なにかの希望が、全力を尽くしたにもかかわらず挫折した時の本当の絶望から、
   その人は逃げている。」





(20)「旅人は自分の持っている以上のものを持ち帰ることはできない」これはいかなる意味か。


 →私案:
(1)「新しい世界で新しい発見をする、それは取りも直さず
   今までの自分の世界観が壊れ、変化することである。
   自分の世界観が変化することは、後戻りのできない
   過去の自分の喪失と表裏一体である。
   人の成長において、得ることは失うことに等しい。」



(2)「人が何かを学ぼうと出発する時、その何かはすでに
   その人の心の中に原形質の状態で生まれているのである。
   現実はただ、その原形質を形にしてやる触媒に過ぎない。」




とか。
こういう抽象的な問題は、頭の中でぼんやり考えてみるのと、
実際に言葉にして書いてみるのとでは、またぜんぜん違いますね。
本屋で見つけたら、ぜひ残りの388問も見てみたいです。