阿闍世コンプレックス

フロイトへの挑戦、という話で思い出したんですが、
この前読んだ上野千鶴子さんという学者の
上野千鶴子が文学を社会学する』という本の一節を
私は思い出しました。



上野千鶴子が文学を社会学する (朝日文庫)

上野千鶴子が文学を社会学する (朝日文庫)



前述の京極夏彦さんの本の中でも、果たしてフロイト
エディプス・コンプレックスの学説は日本で通用するのか?
というのが登場人物の間で議論されていました。
私はよく分からなかったので飛ばして読んでしまいましたが……。



で、こちらの『上野千鶴子が文学を社会学する』という本で
紹介されていたのが、「阿闍世コンプレックス」という学説です。
(同書の136〜137ページ)



阿闍世(あじゃせ)とは、仏教の説話に出てくる王の名前らしいです。
阿闍世コンプレックスというのは、1930年代にフロイトの下で
学んだ小沢平作(こざわ へいさく)という研究者が、
フロイト理論との格闘の中から作り出した概念らしいです。



私はあんまりモラルとか道徳観念が無いのか、
いろんな悲惨な事件が起きても、
「悲しんだり怒ったりしないとな」と一応思いはするのですが、
どうも心の底から「それはいかんだろ!」と
怒ることができてない気がします。
そういうのが自分でも嫌だなーと思ってて、
私の最大の悩みの一つなので、
ちょっとこの阿闍世コンプレックスが気になります。



小此木啓吾さんという人の『モラトリアム人間の時代』
という本でこの学説が紹介され、1970年代には
けっこう有名になったそうです。
私は初めて聞きましたが……。



モラトリアム人間の時代 (中公文庫 M 167)

モラトリアム人間の時代 (中公文庫 M 167)



この本かな。