パリ燃えてる?

Paris brule-t-il?




ここ1週間ぐらい、おフランスの首都のパリで、
暴動が起きてるらしいですね。



若者の失業者が車を500台焼き打ちしたとか。



読売オンライン のサイトより

パリ郊外の暴動、8夜連続…発生以来最悪の事態に
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20051104i516.htm



どのくらいの失業率なのかな、と思って、
私はネットで調べてみました。



グーグルで「フランス 失業率」というキーワードで
検索したら、「独立行政法人 労働政策研究・研修機構
という所のサイトが見付かりました。
私はこちらの研究機関のお名前は初めて聞いたので、
信用できるところなのかよく分からんですが、
とりあえず1999〜2002年までの25歳未満の失業率が出ていました。



テーマ別国際比較:「フランスにおける中高年の雇用」

http://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2004_10/france_01.htm



この資料によると、25歳未満の失業率は、
1996年の30%からはずいぶん改善されてますが、
2002年の時点では20%以上というところです。
もっと最近のデータが欲しいところですが。



まあどこの国でも、一般的に若者の失業率は
他の年齢層よりも高いもんだと思いますので、
日本のと比較してみたいと私は思いました。



そこで「失業率」でググったら、総務省統計局の
かなり新しい今年の9月時点の労働力調査
データが見付かりました。



総務省統計局のサイトより、



労働力調査(速報)平成17年9月結果の概要

http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/



から、ちょっと下の方の


速 報 <5>  4 年齢階級別


http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/img/054p5.gif




これによると、日本の15〜24歳の完全失業率は、
男で9.3%、女で7.4%です。
男も女も、去年より改善してみたいで良かったです。



まあ就職すんのを諦める人が多くても完全失業率
改善してしまいますが、今年の労働市場は、
ここ数年では最高の売り手市場で、
新卒採用だけでなくリベンジ転職が話題になりました。



でも、2002年から続いている日本列島の景気拡大局面は
ユニット・レイバー・コストが上昇し始めたとかなんか
日経に出てたし、来年の日本の実質国内総生産
(real GDP)の成長率予測は、2%を切ると
予測するエコノミストが大勢なので、
来年はどうなるかな。



なにはともあれ、失業の厳密な定義や測定方法が
日本とフランスで違うかもしれないので、
単純に比較はできませんが、20%と10%未満では、
まあ日本の方が若者の失業率はフランスよりも
良好だと言えるでしょう。



でも、一つの経済の中での相対的な失業率という点では、
フランスでは全年齢平均失業率が9.1%の中での
若者の21.7%、なのに対して、
日本では全世代完全失業率:4.2% の中での
若者の完全失業率が男:9.3%、女:7.4% なので、
どっちの国でも平均の2倍前後です。
そういう意味では若者の個人の主観での
やってられねえよ感は等しいのかもしれませんね。




しかし、別に私は日本とフランスの若者の失業率を
比較したかったわけではなくて、
私は、日経新聞には今まで、
このパリの暴動の記事が見当たらなかった、
というのが気になったんです。



一時は、日経は欧州には弱いのか!? とか思いましたが、
ドイツの自動車産業が割と好調とか(11月4日)、
オランダの物流大手TNT社が郵政公社と提携したとか(11月1日など)、
鳥インフルエンザの抗ウィルス剤はスイスの製薬会社ロシュ社が
独占生産している「タミフル」しかなくて、
生産量に限界があり、各国の争奪戦になりそうとか(11月3日)
いろいろ出てます。



また、こういう暴動とかの不穏な記事は、
日本の社会情勢を不安にさせるので、
政府からストップが掛かっているのかとか陰謀説も妄想しましたが、
アメリカのブッシュ政権が、ハリケーン対応の遅れとか
最高裁判事指名のゴタゴタや、
CIA工作員の身元漏洩で疑惑で副大統領首席補佐官がついに
起訴されたりして、保守層からもブッシュ政権への
支持が下がっていると、日経では割と大きく、
しょっちゅう国際面に出てきます。



あと、まあ日経は経済紙なのでこういう社会面的な記事は
あんまり取り上げないのかな、とも思いましたが、
インドネシアキリスト教系の学校に通う女子高生が
首を切断されて殺害されるという凄惨な記事は出ていました。



それに、日経の読者にとっても、
外国為替とかユーロ建ての証券とかに投資してる人などは
フランスの社会情勢が気になることでしょう。
特にこの1週間は、ユーロ圏の消費者物価指数
前年同月比で2.5%上昇と、欧州中央銀行の物価安定の目安である
2%以上で2%近辺という水準からすれば、
インフレを加速させかねない警戒地帯に入っており(10月29日)、
その中で欧州中央銀行政策金利を利上げせず、
年2.0%に据え置いた(11月4日)、という
注目される出来事が有りました。
(関係無いかも)



あと、パリに現地法人を持つ企業にとっては、
同僚が気になることでしょう。
……そんな事言ったら世界中どこでも同じか。





まあとにかく、日経で取り上げていないはずが無い、
それに我がサラリーマン生活のほとんど唯一の情報源である
日経には出てくれていないと困る、と私は発奮したので、
過去一週間の日経新聞を私は調べてみました。



ただ、私が読んでるのって朝刊だけなんです。
それに、新聞はいろんな新聞社から出ていますし、
私が何紙かちゃんと目を通していれば良い事ですが。



まあ言い訳をさせてもらえば、
日経の一紙ですら、私は通勤電車の中では
記事の見出しだけ拾い読みして、読んだことにして、
「R25」の方をもっぱら読んでるわけで、
何かの運が良くて21時前に退社できれば、
飲ま飲まイェイ!! です。



そして、我が家には買うだけ買って読んでいない
いわゆる「積読(つんどく)」の本がたくさんあるので、
というか最近は読まずにブックオフに売ることで
読んだ気になる「売読」という頭のいい勉強法や、
「捨読」という悪の読書術も身に付けたわけなのですが、
最近まで日経新聞は溜まらないように
資源ごみの日にさくっと捨ててました。



しかし、先日渋井真帆さんという方の次の本を読んで、
私はまったく日経新聞の読み方を間違っていたことを
教えられました。



渋井真帆の日経新聞読みこなし隊

渋井真帆の日経新聞読みこなし隊



この本の17ページから翌ページにかけて、こうあります。



日経新聞の読みこなしの第1歩として、まずは「ヨコ読み」することから始めます。


(中略)


「ヨコ読み」というのは、各紙面を独立したものではなく、関連付けて読む読み方。


(中略)


たとえば、ある日の国際面に載っていた記事の影響が政治的な問題に発展して1週間後の政治面に載るとか、ある日の企業面に載った記事をきっかけにその後の株価が動いて株式面をにぎわすとか、ということが実際に出てきます。経済を軸としてみたニュースは、1つの記事が1つのトピックスで終わることの方が稀です。

私はそれまで日経新聞の、マニアックのような、広く浅くのような、
微妙な次元の情報量に圧倒されていて、受身だったのですが、
これを読んで初めて、書かれていない背後の関連や、
これから起きるであろう事象を予測する、
という積極的な読み方に目が開かれました。



私が思い出すのは、漫画の神様、というか私には修羅のように思えるのですが、
故・手塚治虫先生のアイデア作りの思考法です。



手塚治虫先生の、一見無尽蔵とも見えるアイデアは、
実は2通りの方法によって構築された物だったそうです。
それは、まず印象的な事件を思いついた後、
(1)なぜその事件が起こったかを考える。
(2)これからどんな事件に発展するかを考える。
という2つです。



まあ漫画と違って、現実の場合には、
想像と妄想の区別が私自身ではできないので、
ちょくちょく検証して、こそこそと修正したり
恥をかいたりし続けないといけません。



日経を読み続けるのは私にはしんどいんですけど、
まあ「仮面ライダー響鬼」の中の人も
「続ける日経」と言っていたので、
私ももう少しがんばってみたいですね。



話が逸れ続けていますが、日経を読み続けるに当たって、
その日その日を処理するだけではいけないとも
私は渋井真帆さんに教えられました。



ただし、くれぐれも当日の紙面だけの「ヨコ読み」で満足しないでください。前の日や1週間前、1カ月前の紙面まで意識して「ヨコ読み」していくのが完璧に読みこなしている、という状態です。


私は、先に触れた「ヨコ読み」、つまり別々の欄の記事を
相互に関連付ける読み方は、まあ当たり前かなとも
なめてたんですが、ここを読んで、1ヶ月間の日経を
縦横無尽につなげて読むべし、という教えには
やられた、と思いました。



まあ私にはちょっとそこまでの努力と根性は無理ですね。
さすが専業主婦やパートから一念発起して
28歳で起業された方は、自分に課したノルマの設定が違います。



しかし渋井さんに影響されて、とりあえず
日経を1か月分ぐらいストックしておくことにしました。
日付順に積んでおくと、なにか一つのことを気になったときに
1週間分程度なら、すぐパラパラと調べられるので、
今回は大変役に立ちました。



でも、ちょっと私が調べなおした限りでは、
日経の朝刊にはパリの暴動が一週間続いていることが、
まったく取り上げられていないようでした。



いったい、これはどういうことだ!



と思ったら、WEB上での「NIKKEI NET」さんでは、
URLから察するに11月2日に取り上げられているようでした。



パリ北郊で6夜連続の暴動・車60台燃やす

http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20051102AT2M0201N02112005.html




もう一度日経を調べなおすのはめんどくさいので、
きっと私が見落としていたんでしょう。
というか夕刊に出てたのかも。





とはいえ、取り上げ方の大きさでいえば、
イギリスのBBCというニュース放送局のサイトだと、
私がたまたま気づいた3日ぐらい前から、
私が時々アクセスした時はいつもサイトのトップの
一番上の目玉ニュースとして出ていたんですね。



そうじゃなかったら、私は別にこのサイトをチェックしてるわけでも
英語がすらすら読めるわけでもないので、意識もできず、
パリの暴動の事件を私はこのまま知らないで
日本で過ごしていたかもしれません。
まあ私にとっては、知らなくても困らない事件ですが。



French riots spread beyond Paris

http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/4405620.stm



イギリスではブレア政権の支持率が落ちまくってる(日経、11月4日)ので、
ドーバー海峡を挟んで対岸の火事、とも言ってられないのでしょうか。



とか、記事と記事を無理矢理こじつけるのも疲れてきました。



まあ人もいろいろ、人生もいろいろ、新聞紙もいろいろ、
ということですかね。